詐欺を知る

【詐欺を知る】日本へ上陸する中国発の最新手口〜「タスク完了型詐欺」から「海外拉致」まで〜


詐欺の手口は、一つの国の中だけで完結するとは限りません。海外で繰り返され、手順が洗練された犯罪が、言語や勧誘方法を変えて日本でも使われる可能性があります。

今回は、中国における社会問題や犯罪事情を発信している「上海在住のえいちゃん」氏がnoteで公開した、2つの記事を紹介します。

  • 「簡単な作業で報酬がもらえる」と信用させ、やがて送金を要求する手口
  • 友人や知人との関係を入口に、海外の特殊詐欺拠点へ誘い出す手口

いずれも、最初から明らかな脅しを使うのではなく、報酬や人間関係によって警戒心を下げる点が重要です。海外で報告されている手口を知り、自分や大切な人を守るための確認方法を考えてみましょう。

1. 日本に到来した中国の「詐欺の王様」

紹介記事: 日本に到来した中国の「詐欺の王様」

この記事では、中国で「詐欺の王様」と呼ばれているという「タスク完了型リベート詐欺(刷单返利诈骗)」の仕組みと、日本で見られる類似事例が解説されています。

少額の報酬で信用させる「詐欺ループ」

入口となるのは、次のような副業の誘いです。

  • 初期費用なし
  • SNSで「いいね」を押すだけ
  • 簡単な作業で報酬がもらえる
  • 空いた時間に誰でも稼げる

最初の数回は、実際に少額の報酬が支払われることがあります。これは安全な仕事である証拠ではなく、「本当に稼げた」という体験によって相手を信用させる段階です。

その後、より大きな報酬を得られるという高額タスクへ誘導され、先にお金を入れるよう求められます。送金すると、今度は「操作を間違えた」「タスクが未完了」「資金が凍結された」などと言われ、出金や返金のために追加送金を要求されます。

つまり、典型的な流れは次のとおりです。

  1. 簡単な作業へ誘う
  2. 少額の報酬を支払い、信用させる
  3. 高額な報酬を見せ、先払いを求める
  4. エラーや未完了を理由に追加送金を求める
  5. 被害者が支払いを続ける限り、別の名目で請求する

仕事で稼ぐはずなのに、報酬を受け取るための送金を求められたら、そこで中止してください。 一度支払ったお金を取り戻そうとして追加送金すると、被害がさらに大きくなるおそれがあります。

日本向けに手口が変えられている可能性

紹介記事では、中国では主婦や学生など幅広い層が狙われる一方、日本ではインフルエンサーなどが高単価案件として狙われる理由について、日本語で対応できる詐欺オペレーターの人数が限られているためではないか、と考察しています。

これは記事筆者による分析であり、犯罪組織の全体像や、日本の被害者が特定の層に限られることが確認されたという意味ではありません。国民生活センターにも、簡単なタスクで稼げるとうたう副業について幅広い相談が寄せられています。フォロワー数や職業にかかわらず、誰でも注意が必要です。

覚えておきたい防犯の原則

紹介記事の最後には、中国の国家反詐欺中心が提唱するという「10の『〜はすべて詐欺』」が掲載されています。なかでも、次の兆候は日本でも実践的な注意点になります。

  • 資金を立て替えてタスクをこなす副業
  • 「ノーリスク」「必ず稼げる」などとうたう投資
  • 返金や補償を口実に、口座情報や送金を求める連絡
  • 警察や公的機関を名乗り、資金移動を指示する連絡
  • 不審なリンクから、口座番号やパスワードを入力させる誘導
  • 画面共有をさせ、銀行口座の操作を指示する連絡

「少額の報酬が入ったから本物」と判断せず、先にお金を払う副業には参加しないことが大切です。

2. 日本に上陸した中国の海外拉致詐欺

紹介記事: 日本に上陸した中国の海外拉致詐欺

もう一つの記事は、若者が東南アジアの特殊詐欺拠点へ連れて行かれ、監禁や強制労働の被害に遭う事例を取り上げています。

記事では、日本人大学生をめぐる事案と、中国で報告された類似事例をもとに、海外への誘いがどのように人身売買や特殊詐欺拠点につながるのかを考察しています。個別事案には未確認の点もあるため、「日本の事件が中国の犯罪手法によるものと確定した」ということではありません。しかし、海外の高収入求人や知人からの旅行の誘いが、深刻な犯罪被害の入口になり得ることには十分な注意が必要です。

「友人からの誘い」で警戒心を下げる

以前から、「海外で高収入を得られる」とうたう求人に応募し、自ら現地へ向かった人が特殊詐欺に加担させられる被害は知られていました。

紹介記事で強調されているのは、友人や知人、SNSで知り合った相手との信頼関係を利用する手口です。

  • 格安で海外旅行ができる
  • 現地に簡単で高収入の仕事がある
  • 知っている人も一緒だから安心
  • 現地の知人が案内してくれる

こうした誘いで渡航させ、到着後に身柄を拘束して、別の国や地域にある特殊詐欺拠点へ連れて行く事例が紹介されています。一度拘束されると、パスポートや通信手段を奪われ、詐欺への加担を強要されたり、身代金を要求されたりする危険があります。

「友人だから安全」ではなく、計画を客観的に確認する

大切なのは、友人を一律に疑うことではありません。相手との関係だけを安全の根拠にせず、渡航計画そのものを第三者が確認できる状態にすることです。

海外旅行や海外での仕事に誘われたときは、出発前に次を確認してください。

  • 航空券、宿泊先、訪問先、現地の連絡先を自分でも確認する
  • 求人企業の名称、所在地、業務内容、契約条件を公的情報や複数の情報源で調べる
  • パスポートを預けるよう求める仕事には応じない
  • 家族などに旅程、同行者、宿泊先、位置情報を共有する
  • 国境付近への予定外の移動や、迎えの人物・車の急な変更を受け入れない
  • 不安を感じたら渡航を中止し、警察や外務省の相談窓口へ相談する

すでに海外にいて危険を感じた場合は、可能であれば人目のある場所や空港、警察などへ移動し、現地の日本大使館・総領事館へ連絡してください。

犯罪も国境を越える時代に、確認方法をアップデートする

2つの記事から学べる共通点は、犯罪者が人の警戒心を下げる方法を研究し、状況に合わせて誘い方を変えていることです。

一見すると日本で最近現れた新しいトラブルでも、海外で繰り返されてきた手口と似ている場合があります。ただし、似ていることだけを理由に、特定の国や出身者を犯罪と結びつけて考えるべきではありません。見るべきなのは、相手の国籍ではなく、先払い、高収益、緊急性、秘密の要求、予定外の移動、身分証の預かりといった具体的な危険サインです。

「自分は騙されない」「知っている人からの話だから安心」という思い込みを手放し、条件が良すぎる話ほど立ち止まって確認する。それが、国際化・巧妙化する犯罪から身を守る第一歩です。

ぜひ、今回紹介した「上海在住のえいちゃん」氏のnote記事も読み、手口の詳しい事例を確認してみてください。不安な副業や海外への誘いを受けたときは、その場で送金や渡航を決めず、やり取りを保存して、家族や警察、公的な相談窓口など第三者へ相談しましょう。